インドに来たら一度は訪れたい世界遺産「タージマハール」。しかし、ニューデリーからアーグラまではおよそ200キロ。日帰りでも行けると聞いてはいたものの、実際どれくらい大変なのか、どんな旅になるのか、ずっと気になっていました。
そんな思いから、今回思い切って ニューデリーからアーグラへ日帰り旅行を決行しました。結論から言うと、霧に泣き、鉄道に振り回され、でも最後は人生最高のカレーに救われる…そんなドラマのような1日になりました。
この記事では、旅の実体験をもとにアクセスや料金、観光のポイントを詳しく紹介しながら、これからアーグラに行く方に役立つリアル情報をまとめています。
早朝のニューデリー駅へ:出発6時30分の特急列車に乗る
今回利用したのは、ニューデリーとアーグラを結ぶ 特急列車(エクスプレス)。朝の6時半発という早さなので、まだ真っ暗な中で宿を出ました。ニューデリー駅周辺はいつでも活気にあふれていますが、早朝は少し静かで、日の出前の薄暗い空が旅の始まりを感じさせます。
インドの鉄道は慣れていないと分かりにくく感じますが、
・事前のオンライン予約が便利
・駅到着後は電光掲示板でホーム番号を確認
・列車の遅延は日常茶飯事
というポイントを押さえておくと少し安心できます。
出発5分前にホームに入ってきたのはインドらしい色使いの特急列車。指定席なので席は確保されていますが、やはり他の乗客も多く混雑しています。インド人で車内はすでに活気に満ちていました。

特急列車の朝食サービス
列車が動き出し、しばらくして運ばれてきたのが 朝食ボックス。
金属トレイにパン、コーンフレーク、ペースト状のスパイス、ジャガイモ、チャイなどがセットになっており、インドの鉄道らしいしっかりした内容でした。
味付けはや旅行者でも食べやすく、車窓に流れる朝のインドを眺めながら食べる朝食はなんだか特別です。
「鉄道に乗っているだけで旅している感じがする」まさにそんな時間でした。
アーグラーフォート駅に到着…しかし“1時間遅れ”
予定では朝8時前にはアーグラに到着するはずでした。しかし、案の定インド鉄道の洗礼を受けます。
到着はまさかの1時間遅れ。
とはいえ、インドの鉄道は2〜3時間遅れることも珍しくないので、むしろラッキーな部類かもしれません。到着したのは アーグラーフォート駅。赤い石造りの駅舎の雰囲気が、これから訪れるアーグラ城の歴史を予感させます。
駅を出るとオートリキシャの客引きが一斉に声をかけてきます。「タージマハール?」「アーグラフォート?」と声をかけられながら、こちらも値段交渉をしつつ移動手段を確保します。
駅からオートリキシャでタージマハールへ
まず向かうのはもちろん タージマハール。
アーグラーフォート駅からはオートリキシャで向かうのが一般的で、料金は交渉次第ですが観光地価格になりがちです。
タージマハールの敷地までは車で行けるものの、半径500メートル以内はガソリン車の乗り入れ禁止になっています。環境保護と建造物の保存のためです。そのため、手前のゲート付近で 電動リキシャ(Eリキシャ) に乗り換える必要があります。
乗り換え場所には
・Eリキシャ
・サイクルリキシャ
・ラクダ
・馬車
の4択があり、完全に観光名物と化していました。時間効率を考えてEリキシャに乗車します。
振動が少なく快適で、あっという間にタージマハールの入り口へ到着しました。
タージマハール…霧でまさかの“ほぼ見えない”
そして、いよいよタージマハールとご対面。
…のはずでした。
しかしこの日はインド北部特有の 濃い霧(スモッグ) が発生しており、視界はなんと10〜20メートルほど。
目の前にいるはずのタージマハールが、全く見えない。
かすかに白い影のようなドームが浮かんだ瞬間、「あれがタージ…だと思う…」程度で、世界遺産の雄大さを味わうには程遠い状態でした。
タージマハールは、インドで一番有名といってもいい白いお墓(霊廟) です。
ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、最愛の妃ムムターズ・マハルのために建てた大理石の霊廟 です。
完成は1653年。世界遺産にも登録されており、インドを代表する観光名所として世界中の旅行者が訪れます。
白大理石に施された細かな彫刻や宝石をはめ込んだ象嵌細工は圧巻で、時間帯によって色が変わる美しさ も魅力のひとつです。
ここで楽しみにしていた
“タージマハールを指でつまむ写真”
もちろん、これも不可能。
撮影予定の理想的な写真
実際の写真
観光客は多く、ゲート前は人でぎっしり。荷物検査も厳しく、自撮り棒は没収されて預けなければ中に入れません。そのため身軽に歩きたいなら最低限の荷物だけに絞ることをおすすめします。
霧のタージマハールは残念でしたが、逆に「こんな日もあるんだ」と思い出に残る1シーンになりました。
アーグラ城へ:予想以上に最高の世界遺産
タージマハール観光を終え、再びリキシャを捕まえて **アーグラ城(アーグラフォート)**へ向かいます。
こちらは赤砂岩でできた巨大な城塞で、ムガル帝国の歴史が凝縮された世界遺産です。
アーグラ城は、16世紀にムガル帝国が築いた巨大な要塞で、赤砂岩で造られた赤褐色の外観から「レッドフォート」とも呼ばれる世界遺産 です。
軍事拠点としての歴史を持ちながら、皇帝たちが暮らした宮殿やモスクなどが城内に点在し、まるで小さな王宮都市のようなスケール を誇ります。
特に「ムサンマン・ブルジュ」と呼ばれる塔からは、晴れていればタージマハールが望め、幽閉された皇帝シャー・ジャハーンが晩年を過ごした場所 としても知られています。
タージマハールのついでに寄れる便利な場所にあり、歩きやすく見どころも多いので、アーグラ観光ではセットで行くべきスポット です。
アクセス
タージマハールからはリキシャで10分ほど。
料金は交渉制ですが、セットで回る観光客が多いため比較的行きやすく感じました。
アーグラ城が“めっちゃ良かった”理由
正直に言うと、アーグラ城は「ついで」に訪れる程度に考えていました。
しかし、いい意味で裏切られます。
・とにかく 広い
・見学ルートが 歩きやすい
・建築が 美しくフォトスポットだらけ
・歴史背景がわかりやすい
赤い石造りの城壁と、内部の精巧な装飾のコントラストが美しく、どこを切り取っても絵になります。王族が暮らした部屋や謁見の間、霧がなければタージマハールを遠望できるテラスなど、見どころがとにかく多い。
「タージが見えなかった分、アーグラ城に救われた」
と言っても過言ではないほど満足度の高い観光スポットでした。
New Sindh Punjab Dhabaで“人生最高”のバターチキンカレー
アーグラ城をじっくり見学した後は、徒歩でパンジャーブ料理の食堂 New Sindh Punjab Dhaba に行き遅めのランチをとることにしました。
外観はローカル食堂そのものですが、店内は観光客も地元の人もいて賑わっており期待が高まります。
今回注文したのはもちろん
バターチキンカレー + ライス
パンジャーブ料理とは
パンジャーブ料理とは、インド北西部パンジャーブ地方発祥の濃厚でコクのある料理のことです。
この地域はバターやギー(精製バター)、クリーム、ヨーグルトなど乳製品が豊富に使われるため、カレーは全体的にまろやかで奥深い味わいになります。
また、小麦文化が発達している土地柄から、主食はナンやロティなどのパン類。
さらにパンジャーブはタンドール(粘土窯)文化でも知られ、タンドリーチキンやナンを焼く香ばしい香りが旅人を引き寄せます。
代表的な料理は、バターチキン、タンドリーチキン、ダールマッカニ(豆のカレー)、パラクパニール(ほうれん草のカレー) など、日本でも馴染みのあるラインナップが多いのが特徴です。
「濃厚」「バター」「スパイス」「炭火の香り」
これがパンジャーブ料理の魅力で、旅行中に一度は食べておきたい本場インドの味です。
一口食べて衝撃
まず驚いたのは ソースの濃厚さ。
バターのコクとトマトの酸味、複雑なスパイスの香りが一気に押し寄せます。
チキンはほろほろに柔らかく、スプーンですくうだけで簡単に崩れるほど。ソースと絡むことで旨味が倍増し、無限に食べ続けられそうな中毒性があります。
また、ここはあえてナンではなく ライス との組み合わせにしたのですが、これが正解でした。
香りの強いライスに濃厚なバターチキンがしっかり絡み、最後の一粒まで楽しめる完成度。
「これまで食べたバターチキンの中で間違いなく一番」
そう言い切れるほどのクオリティでした。
帰り:鉄道の大幅遅延で“タクシーでデリーへ戻る”判断に
ランチを終え、帰りも鉄道で戻るつもりで アグラカント駅 へオートリキシャで向かいました。しかし、駅に着いて状況を確認すると…
予約していた列車が3時間以上の遅延確実。
到着の見込みすら立たない。
午前中の1時間遅延ですら軽症だったと痛感します。
デリーでの予定があったため、ここで判断。
タクシーをチャーターしてデリーへ戻ることに決めました。
料金は 4000ルピー。
インドの距離感を考えるとやや高めですが、時間を優先するなら妥当な価格だと思います。
ほぼ快適…ただし“デリー市内のみ渋滞”
タクシーでの帰路は驚くほどスムーズで、
ほとんど渋滞もなくひたすら快適。
しかし、デリー市内に入った瞬間に現実へ引き戻されるように大渋滞。
それでも鉄道の遅延に振り回されるより遥かに精神的に楽で、
「最初からタクシーで戻ってもよかったかも」と思うほどでした。
波乱の旅でも“行って良かった”アーグラ日帰り旅
今回の旅は
・タージマハールは霧で見えず
・鉄道は遅延
・帰りはタクシーに変更
とトラブル続きでした。
しかし、アーグラ城ではムガル帝国の壮大な歴史を堪能し、
そして締めには人生最高のバターチキンカレー。
「思い通りにいかないのが旅の醍醐味」
まさにそう実感できる一日でした。
これからアーグラへ日帰り旅行を考えている方の参考になれば嬉しいです。


























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