優雅な街並みの裏にある、庶民の胃袋「ホーカーズ」
シンガポールといえば、マリーナ・ベイ・サンズやラッフルズホテルに代表されるラグジュアリーなイメージ。そして、驚くほどの「物価の高さ」が旅人の頭を悩ませます。レストランで食事をすれば、サービス料と消費税で予算は一気に跳ね上がります。
しかし、絶望する必要はありません。この国には、ユネスコ無形文化遺産にも登録された最強の食文化**「ホーカーズ(Hawker Centre)」**があるからです。
今回は、最高級「ラッフルズホテル」のすぐ目と鼻の先にあるホーカーズで出会った、絶品チキンライスと空芯菜炒めの食レポをお届けします。
ホーカーズ(Hawker Centre)とは何か?
ホーカーズを一言で言えば「屋台が集まった巨大なフードコート」です。
- 歴史と背景: かつて路上で営業していた屋台を、政府が衛生管理のために一箇所に集めたのが始まりです。現在ではシンガポール人の生活に完全に溶け込んでおり、朝食から深夜の晩酌まで、あらゆる世代がここで食事を済ませます。
- ホーカーズのルール: 席を確保する際は、ポケットティッシュを置いて「場所取り(Chope/チョープ)」をするのがシンガポール流。注文は各店舗のカウンターで行い、その場で支払って自分で席まで運びます。
ラッフルズホテル近くの穴場「ラッフルズ・シティ」周辺の食事情
今回私が訪れたのは、高級感漂うラッフルズホテルのすぐ近くにあるエリア。周囲はオフィスビルや高級店ばかりですが、少し歩けば地元の人々が通う「ラッフルズ・シティ・マーケットプレイス」や、少し足を伸ばせば「ヒル・ストリート・フードセンター」などのホーカーズが点在しています。
高級ホテルの宿泊客が1食数千円を支払っている横で、私たちはわずか数ドルの至福を味わうことができるのです。
国民食「シンガポール・チキンライス(海南鶏飯)」の奥深さ
ここで、今回メインで食べたチキンライスについて詳しく解説します。
- 詳細: 鶏肉を丸ごと茹で、その茹で汁と鶏脂、ショウガ、ニンニク、パンダンリーフでタイ米(バスマティライス等)を炊き込んだ料理です。
- 三種の神器(ソース):
- チリソース: 辛味と酸味。
- ジンジャーソース: 爽やかな風味。
- ダークソイソース: 甘みの強い黒醤油。
驚くほどしっとりしており、皮と身の間のゼラチン質が甘い
徹底比較!東南アジア「鶏飯」ウォーズ
「チキンライスなんてどこも同じでは?」と思うかもしれませんが、シンガポール流は他国と明確に異なります。
- vs タイの「カオマンガイ」: タイのカオマンガイは、豆味噌ベースのタレが主流。シンガポールの方がソースの種類が多く、より「鶏のしっとり感」と「米のパラパラ感」のコントラストが際立ちます。
- vs ベトナムの「コムガー」: ベトナムのコムガー(特にホイアン風)は、ターメリックで米を黄色く炊き、玉ねぎやハーブと一緒に和えるスタイル。シンガポール版の方が、鶏出汁のストレートな旨味を重視しています。
- vs マレーシアの「ナシアヤム」: 基本は似ていますが、マレーシアでは揚げた鶏(アヤム・ゴレン)を合わせることが多く、ソースも少し甘めが好まれます。シンガポールの「蒸し(Steamed)」の技術は、やはり中国・海南島からの移民文化が色濃く出た独自の進化です。
最高の脇役「空芯菜のサンバル炒め」
チキンライスのお供として絶対に外せないのが、空芯菜炒め(Sambal Kang Kong)です。
- 味の感想: 東南アジア特有の辛味調味料「サンバル(エビの塩辛や唐辛子を混ぜたもの)」で一気に炒められた空芯菜は、シャキシャキとした食感と強烈な旨味が特徴。
- ペアリング: 優しい味のチキンライスに対し、パンチの効いた空芯菜炒めを合わせることで、交互に食べる手が止まらなくなります。
ブラチャン(発酵したエビのペースト)の香ばしさと唐辛子のキレ。高温の強火で一瞬で火を通しているため、茎の空洞部分にソースがよく絡み、シャキッとした歯応えが心地よい
まとめ:シンガポールの正解はホーカーズにある
ラッフルズホテルの白亜の外観を眺めた後、汗をかきながらホーカーズでチキンライスを頬張る。このギャップこそがシンガポール旅行の醍醐味です。
物価高に怯える必要はありません。街の至る所にあるホーカーズを使いこなせば、安くて美味しい、そして何より「本物のシンガポールの味」に出会うことができるのです。











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