マレーシア北部に位置するイポーは、クアラルンプールから約200kmほど離れた古都で、ノスタルジックな街並みと美食の数々で知られています。ジョホールバルやクアラルンプール、ペナンといった大都市に比べると、どこかゆったりと時間が流れている印象があり、旅人の間でも「素朴で居心地の良い街」として人気が高まっています。
今回はそのイポーを目指し、マラッカから深夜バスで移動し、早朝のまだ空が暗い時間帯にイポーのバスターミナルへ到着。そのままローカルバスと徒歩で、ホワイトコーヒーの発祥地として知られる「南香茶餐室(Nam Heong White Coffee)」へ向かった記録をまとめます。
移動のリアル、イポーの街の雰囲気、そして名物ホワイトコーヒーの魅力まで、実体験をベースに詳しくお伝えします。
マラッカから深夜バスでイポーへ
スタート地点はマレーシア南部の都市マラッカ。
今回は費用を抑えるため、そして時間を有効に使うために「深夜バス」を選びました。
ジョホールバル発イポー行きのバスは深夜0時頃にマラッカを出発し、早朝の5時頃にイポーへ到着。深夜便は車内も比較的静かで、移動中にしっかり眠ることができるのが魅力です。
バス料金は30〜60リンギットほどとかなりリーズナブルで、飛行機よりも気軽に移動できます。
深夜のマラッカを出発して数時間、サービスエリアの停車を挟みながらバスは北へ進み、空が白み始める頃、イポーのバスターミナルに到着しました。
イポーのバスターミナルは市内中心部から少し離れた場所にありますが、設備は整っており、早朝でもタクシーやグラブが利用できます。
イポーについて
イポーはマレーシア第3の都市とも言われ、19世紀にはスズ鉱山の街として発展しました。その歴史的背景から、街にはコロニアル建築が多く残っており、現在は観光地としても人気があります。
クアラルンプールからのアクセスは以下のとおりです。
・電車:ETSで約2時間半〜3時間(35〜50リンギット)
・バス:3〜4時間、料金は20〜40リンギット
・車:高速道路で2時間半
街の中心はこぢんまりとしており、徒歩で散策できます。治安も比較的良いです。
バスターミナルから始発のローカルバスでイポー駅へ
深夜のバス移動でそこそこ疲れていましたが、今回は「イポーの朝」をしっかり味わいたくて、タクシーではなくローカルバスを利用することにしました。
始発前のバスターミナルは静かで、地元の人の通勤が始まる前の独特の雰囲気があります。6時過ぎになるとぽつぽつとバスが動き始め、イポー駅行きのローカルバスに乗車。
ローカルバスは冷房がしっかり効いており、運賃も格安。車窓にはまだ眠るイポーの街並みが流れ、レトロな看板や古い建物がところどころに残っています。
20分ほどでイポー駅に到着。コロニアル様式の美しい駅舎が朝日に照らされ始めて、なんとも旅情を感じる風景です。
イポー駅からオールドタウンを歩く
イポー駅から朝食を目的としてる南香茶餐室までは徒歩で約10〜15分。
ちょうど街が動き出す時間帯で、開け始める商店、朝ごはんを買いに来た地元の人たちが少しずつ姿を現します。
イポーの街は大きく「オールドタウン」と「ニュータウン」に分かれており、それぞれに個性があります。
イポー・オールドタウンとは?
オールドタウンは、イギリス植民地時代の面影が今も色濃く残るエリアです。
古いショップハウスが整然と並び、白壁に赤レンガ、アーチ状の窓が美しく、一歩歩くだけで歴史の深さを感じられる街並みになっています。
朝の時間帯は特に雰囲気が良く、まだ街全体が眠りから覚めきらない静かな空気の中、コーヒーショップから漂う香ばしい香りと、ローカルの人たちの日常の声が響きます。有名なウォールアートスポットが点在しています。
南香茶餐室(Nam Heong White Coffee)
南香茶餐室(Nam Heong)はオールドタウンの中心にあり、昔ながらの街並みの中に溶け込んだような雰囲気。店の前に着くと、すでに満席。朝7時頃にも関わらず、かなりの人気です。
南香茶餐室は1950年代創業の老舗コピティアム。
創業当時から炭火で淹れるコーヒー、手作りのスイーツ、ローカルフードを提供し、イポーの朝食文化を支えてきました。
店内は賑やかで、地元のおじいちゃんおばあちゃんから観光客まで、幅広い人々が朝食を楽しんでいます。歴史あるタイル張りの床、古いテーブル、厨房から聞こえてくる鍋の音など、ノスタルジックな雰囲気がたまりません。
コピティアムとは?
南香茶餐室のような伝統的カフェを「コピティアム」と呼びます。
コピティアムはホーカーと違い屋内式の食堂で、パン、卵、コーヒーといった軽食を中心に提供するのが特徴です。
南香茶餐室はその中でも非常に歴史のある老舗で、地元の人にとっては「朝の定番」として親しまれています。
ホワイトコーヒー・プリン・カレーミーを注文
席に座ると店員さんが素早くメニューを持ってきてくれます。
今回注文したのは以下の3つ。
・ホワイトコーヒー
・プリン
・カレーミー
ホワイトコーヒー
これがイポー名物・ホワイトコーヒーの本家。
通常のコーヒーとは異なり、豆を高温で焙煎しない「低温焙煎」で苦味を抑え、コンデンスミルクを加えることでクリーミーかつ濃厚な甘さが特徴です。
一口飲むと、深い香りとまろやかな甘さが広がり、朝の体にスッと染み込んでいきます。クセがなく非常に飲みやすいです。
プリン
昔ながらの手作りプリンで、表面のカラメルがほんのり香ばしく、スプーンを入れるとぷるんと揺れます。甘さ控えめで、ホワイトコーヒーとの相性も抜群。
カレーミー
朝からカレーミー?と思うかもしれませんが、これが想像以上に食べやすい。
ココナッツミルクが効いたクリーミーなスープに、平打ち麺がよく絡みます。具材は鶏肉、豆腐、野菜などシンプルながら満足感あり。辛さは控えめなので、朝食としても問題ありません。
最後に
イポーは、クアラルンプールやペナンに比べると派手さはありませんが、どこか懐かしい雰囲気と温かみのあるローカル食文化が魅力の街です。今回訪れた南香茶餐室(Nam Heong White Coffee)は、そんなイポーの魅力が最もシンプルな形で詰まった名店でした。ホワイトコーヒー、プリン、カレーミーという一見シンプルな組み合わせが、深夜バスで到着した身体にすっと染みわたり、まさに「旅の朝ごはん」として完璧な体験でした。
ジョホールバルからの深夜バス移動、早朝のローカルバス、歩いて向かったオールドタウンの街並み。そのどれもが旅の醍醐味を感じさせてくれます。ホワイトコーヒーの歴史やコピティアム文化を知れば知るほど、南香茶餐室での朝食が特別なものに感じられるはずです。
イポーを訪れる際は、ぜひ旅のスケジュールに「朝の南香茶餐室」を組み込んでみてください。静かな朝の街と、香り高いホワイトコーヒーが、忘れられない1日のスタートを与えてくれます。














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