【ニューデリー】パハールガンジは「食」の迷宮である

パハールガンジのグルメレポ インド

ニューデリー駅の詐欺師の群れを突破し、ようやく辿り着いた安宿街パハールガンジ(メインバザール)。牛の鳴き声、リキシャのクラクション、そして立ち込める重厚なスパイスの香り。この混沌とした街こそ、「食の楽園」であり、同時に試練の場でもあります。

今回は、パハールガンジで1日を過ごした私の「胃袋の記録」を完全公開します。朝の清々しいラッシーから、昼のビールを巡る攻防、そして夜の絶品チキンまで。インドの食文化の深さに溺れた1日の全記録です。

朝の儀式:ストリートの立ち飲みラッシー

ラッシー屋台3

パハールガンジの朝は、喧騒と共に始まります。まず向かったのは、地元の人々がひっきりなしに訪れる、活気あふれるラッシー屋台です。

  • 詳細な説明: インドの朝、コーヒーでもチャイでもなく、まずはこの濃厚なラッシーで胃を動かすのが私流。屋台の店主が大きな金属製のボウルから手際よく汲み出すラッシーは、日本の飲むヨーグルトとは別次元の食べ物です。表面には「マライ」と呼ばれる、凝縮された乳脂の塊がトッピングされており、これが濃厚なチーズのようなコクを加えています。
ラッシー
大きなボウルで手作りされる濃厚ヨーグルトドリンク。表面の「マライ(乳脂塊)」が特徴。素焼きのコップ「クルハル」で提供される場合もあり、その場合は素焼きは使い捨てにする。

朝食:路上で焼きたてのプーリーを食らう

ラッシーで食欲に火がついた後は、そのまま目についた朝食屋台へ。

チャパティ屋台
  • 詳細な説明: 注文したのは、インドの日常食「プーリー」。全粒粉を練った生地を、店主が手際よく丸め、熱い鉄板の上でプクッと膨らませていきます。これに、豆のカレー(ダール)が添えられます。
  • 味の感想: 焼きたてのプーリーは香ばしく、噛むほどに小麦の甘みが広がります。素朴な味わいですが、ピリッと辛いダールを絡めて食べると、シンプルながらも完成されたインドの朝の味になります。
チャパティ
全粒粉の無発酵パン。オーダーを受けてから目の前で焼かれる。添えられた豆カレー(ダール)の素朴な辛さが特徴。

昼食の壁:ビールを求めてホテルのレストランへ

ホテルのダンドリーチキンとチャーハン

正午、身体が求めているのは「キンキンに冷えたビール」です。しかし、パハールガンジの路面にある一般的なレストランでは、宗教上の理由やライセンスの問題で、メニューにお酒が載っていないことがほとんどです。

  • ビールの探し方: こういう時は、中堅以上のホテルにあるレストランを狙うのが鉄則です。外の喧騒を遮断した「隠れ家」的な場所で、お酒が提供されています。
  • 注文したメニュー: インドビールの王道**「キングフィッシャー(Kingfisher)」、ラッシーそしてメインには「タンドリーチキン」と「チャーハン(炒飯)」**を選びました。
  • 詳細な説明: 真っ赤に色づいたタンドリーチキンは、スパイスとヨーグルトの香りが漂い、食欲をそそります。それを受け止めるのは、パラパラに炒められたインド流のチャーハン。
  • 味の感想: まずはキングフィッシャー。喉を駆け抜ける冷たさが、インドの暑さを一瞬で忘れさせてくれます。タンドリーチキンは見た目ほど辛すぎず、中心までしっかり味が染みていてジューシー。そこに、スパイス香るチャーハンを合わせると、カレーとはまた違う「ガッツリ系」の満足感に包まれます。旅での節約も大事ですが、ここでの「ビール代」は惜しむべきではない投資だと確信しました。
キングフィッシャービールとラッシー
インドで最も有名なビールブランド。特に「Strong」はアルコール度数が高く、暑いインドの気候によく合うキレがある

タンドリーチキン
串に刺してタンドール窯で焼いた鶏肉。クミンやコリアンダーなどのスパイスとヨーグルトに漬け込まれており、香ばしさが際立つ。

チャーハン&ラッシー_evoto_edited
インディカ米(バスマティライス)を使用したパラパラの炒飯。スパイスと野菜、時には卵が入っており、単体でもおかずと合わせても優秀。

夕食:白の衝撃「ホワイトタンドリーチキン」

レストラン2
レストラン

1日の締めくくりは、パハールガンジのレストランでのディナー。ここで出会ったのが、今回の旅のハイライト「ホワイトタンドリーチキン」です。

  • 詳細な説明: 「ムルグ・マライ・ティッカ」とも呼ばれるこの料理は、通常の赤いタンドリーチキンとは一線を画します。ヨーグルト、生クリーム、そしてカシューナッツのペーストに漬け込まれ、炭火でじっくり焼き上げられた「白い」チキンです。
  • 味の感想: 一口食べると、その「しっとり感」に驚きます。スパイスの角が取れたまろやかな旨味と、乳製品のコクが口いっぱいに広がります。辛いものが苦手な人でも、これなら無限に食べられるはず。パハールガンジの夜を締めくくるにふさわしい、上品でリッチな逸品でした。
ムルグ・マライ・ティッカ1_evoto_edited
カシューナッツや生クリームを使用したマイルドなタンドリーチキン。辛さよりも「コク」と「柔らかさ」を重視した、北インドの贅沢な一品。

パハールガンジで「胃袋」を守るためのアドバイス

  • 生水は厳禁: 屋台のラッシーなどは、人気店(=回転が早い店)を選びましょう。
  • ビールの値段: ホテルで飲むビールは、街中の酒販店(ワインショップ)に比べて割高ですが、安全と快適さを買うための必要経費です。

まとめ:混沌と美味のパズル

パハールガンジでの食事は、常に「交渉」と「発見」の連続です。路上の屋台に感動し、ビールを求めてホテルのエレベーターに乗り、白いチキンの味に驚く。この1日の食体験こそが、インドという国を理解する最短距離なのかもしれません。

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